「この場所にはじめて来た人間には、ひとつきまりがある。ここにある本を、どれか一冊えらぶんだ。気に入れば、どれでもいい。それをひきとって、ぜったいにこの世から消えないように、永遠に生き長らえるように、その本を守ってやらなきゃいけない。とっても大事な約束なんだ。」
1945年のバルセロナ。ダニエル少年は父親に連れられて「忘れられた本の墓場」を訪れ、そこで一冊の本に出会った。「風の影」。少年がその本を選んだのか、その本が彼を選んだのか。忘れられた本の墓場での決断はくだされた。
「ぼくには確信があった。あの本は、もう何年もまえから、あそこでぼくを待っていた。いや、おそらく僕が生まれる前から、僕を待っていたのだと。」
ダニエルは「風の影」の謎の作家フリアン・カラックスに魅かれ、隠された過去を追い求める。運命は次第に少年の現在とカラックスの過去が交差することを要求する…。
ひさびさにヒットな作品!上・下巻、あわせて800ページもの長編とは思わせないほどのめり込み具合。特に後半になればなるほどスピード感と密度があがるので読んでてとても気持ちよかった。
この本は紀伊国屋で「37ヵ国500万部突破 スペイン発青春ミステリー大作」と宣伝されていたもので、はじめは「青春ミステリー」と書かれている時点で読む気がでなかったのだけど、僕がスペインが好きであることと、「忘れられた本の墓場」に魅かれ買ってみたら当たりだった。
ストーリーは当たり前として、登場人物が全員印象的で魅力的なこともよかった(登場する女性が美人ばかりなのには多少ひっかかったが。笑)が、なんと言っても、訳者の木村裕美さんがうまく言いえている「ダニエルが、カラックスをめぐる『過去』にむかってさかのぼり、隠された事実がすこしずつ明るみにでていく一方で、ダニエル自身を中心とした『現在』も進行する。反対方向に進んでいたはずの、その二つのベクトルは、しかし、ある時点から奇妙な平行線をつくりはじめる」点が非常に面白い。
座右の書ではないけれど、本を読む者として一生にこの一冊だけは手放せないという本に出会ってみたいと思った一冊。

この寒い冬休み、コタツで一読してみてはどうだろう?
風の影
カルロス・ルイス サフォン
P.S.
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