朝凪に似た音

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2009.11.16 Monday | - | - | -
イニシエーション・ラブ
乾くるみのイニシエーション・ラブを読んだ。イニシエーション・ラブ

「これ絶対面白いから読んでみてください!」と半ば押し付けられた小説。表紙、タイトルからも恋愛小説の雰囲気がぷんぷんしてるので、なんだかなぁと思っていたが、裏表紙のあらすじの一節を読んで、やる気がでた。


甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説――と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二度読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。


途中で見破れたらいいなって思いながら気をつけながらも読み進めた。

で、完全にミスリードにやられた。


最後から二行目を読んだ瞬間は「?」で、3秒後くらいに「…まじで?!」となり、5秒後くらいに「そういうことかー!」ってページをめくり返しまくってた。

最後の最後で、この小説の"本当の主人公"が誰なのかを悟りました。いやいや、怖い…じゃなかった、面白かった。

調べてみると、この小説の評価は激しく分かれてるみたいだけど、僕はけっこう好きだった。まぁ、単純な恋愛小説でさえ読まないから新鮮に思えただけな気もせんではない。

あ、これから読もうと思ってる方はあまり検索しないほがいいと思います。けっこうネタバレをして議論してるサイトが当たってしまうので。

ということで僕もここで押し付けておこう。

これ絶対面白いから読んでみてください!
2008.01.22 Tuesday | | comments(4) | -
読書について
本を読む人、書く人が一度は読んでおく良いと僕が思う本の一つに、ドイツの哲学者ショウペンハウエルの「読書について」がある。

この本は岩波文庫から出版されていて、「思索」「著作と文体」「読書について」の3部が含まれている。150ページほどでとても読みやすい良書。シニカルな文章は僕の性格にもよく合い僕も何度か再読している本だが、いつ読んでも新鮮だ。

「読書について」では、開いてすぐに、思索を伴わない多読の危険性を指摘している。

「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。(中略) 読書にいそしむ限り、実は我々の頭は他人の思想の運動場にすぎない。そのため、時にはぼんやりと時間をつぶすことがあっても、ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいにものを考える力を失っていく。」

僕は多読というほど本は読まないけど、実際に本を読んでいると、自分で考えなくとも答えが与えられることが心地よく、たくさんの本を読みたくなることは多い。

はじめてこれを読んだときはなかなか痛烈だった。

そして、最近読んで頭に残ったのは次の一節。

「最近の発言でありさえすれば、常により正しく、後から書かれたものならば、いかなるものでも前に書かれたものを改善しており、いかなる変更も必ず進歩であると信ずることほど大きな誤りはない。 (中略) 一般読者は愚かにも新刊を読みたがり、良書を手にしたがらないのである。」

この言葉はとてもシンプルだけど実行はとても難しい。どうしても10年前の本と今の本を並べると今の本をとってしまいがちな僕はやはり一般読者代表だ。

100年以上前に書かれた彼の思想は何百年たっても新しいままだろう。

2007.03.21 Wednesday | | comments(0) | -
本読み
僕はなぜ本を読もうとするのだろうとよく考える。

家には必ず2、3冊の未読本がストックしてあって、読むものがなくならないようにしてある。

もちろん知への欲求ということはあるのだろうけど、小説なんかは別に新しい知識を得ようとして読むわけじゃない。

小説に描かれた物語を通して見つけるのは、もともと僕らの内部にあるものでしかないのではないか。

僕は自分の中にある感情、それは新しいものでも古いものでもかまわないのだろうが、そんな感情を本という鏡を通して発見もしくは確認しようとしているのだ。

では僕にとって面白い本とつまらない本では何が違うのだろう。

すぐには良い考えが浮かばない。だけど、つまらない本に出会っても損をしたと思わない僕は、その中からも何かを見つけているのだと思う。「これはつまらなかった。」と思えることが案外僕にとっては良いことなのだ。もちろん面白い本に出会うに越したことはないが。

この話はまた機会があれば触れよう。今日はもう遅い。

一昨日買ってきたスコッチのまわりは早くとても心地よい。
2007.01.14 Sunday | | comments(0) | -
風の影
「この場所にはじめて来た人間には、ひとつきまりがある。ここにある本を、どれか一冊えらぶんだ。気に入れば、どれでもいい。それをひきとって、ぜったいにこの世から消えないように、永遠に生き長らえるように、その本を守ってやらなきゃいけない。とっても大事な約束なんだ。」

1945年のバルセロナ。ダニエル少年は父親に連れられて「忘れられた本の墓場」を訪れ、そこで一冊の本に出会った。「風の影」。少年がその本を選んだのか、その本が彼を選んだのか。忘れられた本の墓場での決断はくだされた。

「ぼくには確信があった。あの本は、もう何年もまえから、あそこでぼくを待っていた。いや、おそらく僕が生まれる前から、僕を待っていたのだと。」

ダニエルは「風の影」の謎の作家フリアン・カラックスに魅かれ、隠された過去を追い求める。運命は次第に少年の現在とカラックスの過去が交差することを要求する…。



ひさびさにヒットな作品!上・下巻、あわせて800ページもの長編とは思わせないほどのめり込み具合。特に後半になればなるほどスピード感と密度があがるので読んでてとても気持ちよかった。

この本は紀伊国屋で「37ヵ国500万部突破 スペイン発青春ミステリー大作」と宣伝されていたもので、はじめは「青春ミステリー」と書かれている時点で読む気がでなかったのだけど、僕がスペインが好きであることと、「忘れられた本の墓場」に魅かれ買ってみたら当たりだった。

ストーリーは当たり前として、登場人物が全員印象的で魅力的なこともよかった(登場する女性が美人ばかりなのには多少ひっかかったが。笑)が、なんと言っても、訳者の木村裕美さんがうまく言いえている「ダニエルが、カラックスをめぐる『過去』にむかってさかのぼり、隠された事実がすこしずつ明るみにでていく一方で、ダニエル自身を中心とした『現在』も進行する。反対方向に進んでいたはずの、その二つのベクトルは、しかし、ある時点から奇妙な平行線をつくりはじめる」点が非常に面白い。

座右の書ではないけれど、本を読む者として一生にこの一冊だけは手放せないという本に出会ってみたいと思った一冊。
風の影
この寒い冬休み、コタツで一読してみてはどうだろう?

風の影
カルロス・ルイス サフォン



P.S. リンクを更新しました。
「FUNK the FUNK」を追加、リンク切れの「☆みぽぼと遊ぼ☆」を削除しました。
2006.12.29 Friday | | comments(0) | -
燃えよ剣
土方歳三は言った。

「どうなる、とは漢(おとこ)の思案ではない。おとことは、どうする、ということ以外に思案はないぞ。」

「男の一生というものは、美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている。」

かっけー、土方かっけー。
2006.12.04 Monday | | comments(0) | -
幻冬舎新書
ついこないだの朝日新書が創刊したと思ったら、次は幻冬舎新書が創刊したらしい。
相変わらず、というかさらに新書ブームが広がってる感じ。
17作品とはまたようけ出したね。創刊ラインアップは次の通り。

「すぐに稼げる文章術」 日垣隆
「快楽なくして何が人生」 団鬼六
「考えないヒント」 小山薫堂
「スピリチュアルにハマる人、ハマらない人」 香山リカ 
「男も知っておきたい骨盤の話」 寺門琢己
「バカとは何か」 和田秀樹
「大人のための嘘のたしなみ」 白川道
「金印偽造事件「漢委奴國王」のまぼろし」 三浦佑之
「なぜナイスショットは練習場でしか出ないの」 市村操一
「はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語」 吉田武
「女はなぜ土俵にあがれないのか」 内館牧子
「大学病院のウラは墓場」 久坂部羊
「右翼と左翼」 浅羽通明
「マネーロンダリング入門」 橘玲
「インテリジェンス 武器なき戦争」手嶋龍一 佐藤優
「死にたくないが、生きたくもない」 小浜逸郎
「2週間で小説を書く」 清水良典

気になった作品は本屋でチェック。
幻冬舎はたまに僕のツボをばしっととらえる作家がでてくることがあるのでマニアックに好き。
2006.11.30 Thursday | | comments(0) | -
耽美と変態
高校までの授業や世間のイメージと違って、川端康成も三島由紀夫も谷崎潤一郎も変態だと言われる作品が数多くあります。

特に谷崎潤一郎はぶっちぎりで、掲載、出版が止められたことも多々ある人。
マゾで脚フェチであることをアピりまくりです。

性的な嗜好ほど個人差があるものはないように僕は思っているので、個人の感覚にもよるとは思いますが、そういう性的な描写から非常に上手くいやらしさを排除する彼らの文章力、これが彼らを彼らたらしめたものなのではないでしょうか。

川端康成はずば抜けてきれいな日本語を使いますし、三島由紀夫は極細部にいたるまでの観察力に基づいた文章は圧倒的です。谷崎潤一郎もまた魅力的な文章でその陰鬱さを昇華させてしまいます。

彼らの作品は往々にして耽美的だと言われます。
僕が読む限り、耽美と変態は紙一重、というより、耽美は変態を包括しているように見えます。
変態が美しい表現を身にまとった瞬間に耽美になるのです。
実際、肩フェチにも脚フェチにも腕フェチにもなれそうな気がしてくるから不思議です。

まとめると、彼らの作品は世界的に評価され、多くの読者を魅了していることから、結局、みんな変態なんだねと言うことです。

2006.09.10 Sunday | | comments(0) | trackbacks(0)
解答
先日の解答。

一つ目の問題の解答は「イエス」。

一見、ヤギが入ってるドアが開けられることで、正解の確率はどちらを選んでも1/2になったように思えます。よってドアを変えても変えなくても同じ、というのが典型的な誤答です。

しかし、もともと三つのドアのうち、自分の選んだドアに自動車がある確率は1/3であり、自分の選ばなかった2つのドアのどちらかに自動車がある確率は2/3となっていることが重要です。自動車が入っている確率が2/3である、自分の選ばなかった2つのドアのうち一方のドアが開けられたことにより、その残りのドアに自動車が入っている確率が2/3となります。

つまり、自分の選んだドアの正解率は1/3で変わらず、残りのもう一方のドアの正解率は2/3であるため、ドアを変えたほうが有利という結論となります。

この問題は著名な数学者たちがこぞって間違えた有名問題だそうで、 発端はギネスにも載っているIQ228の持ち主のマリリンさんが担当するコラム「マリリンさんに聞いてみよう」というコーナーで「ドアを変えなさい」と結論をだしたことが物議をかもしだしたことだとか。

はじめからドアの一つが開けられていたら確率は1/2ずつなのに、そのドアが開けられた経緯によって確率が変わるのも面白いですね。



次の問題。実はこの問題はこれと言った正解はありません。ただし、標準的経済学では全ての人が経済人(超合理的で感情に動かされない人)だとされているので、この場合には、正解が1になります。

全ての人がランダムに数字を選ぶとすると、その平均値は50となるはずで、その2/3に近ければ勝者になることから33を選べばよい、となります。しかし、他の人もそう考えると、平均値自体が33となるので、その2/3である22が候補となりますが、他の人もそう考えるので、15を選ぶ必要があり…となっていくと、ついには1でなければ勝者となれないことになります。

すべての人が合理的であれば、全員1を提示し、全員勝者にならなければならないのです。これが合理性を前提とする理論の予測となります。

実際は全員がこれほど合理的なことはなく(8ステップの推論を経て1という回答がだせましたか?)、またそのことを全員が知っていると考えられます。事実、平均値は25〜40となるそうです。


普通に考えて、人間は合理的にできてないのは分かるのに、合理的だとしてきた経済学はある意味すごいと思います。そりゃ経済学者の景気動向は当たらないよねって素人の僕が思ってしまっても無理はないということにして今夜は寝ましょう。
2006.09.02 Saturday | | comments(6) | trackbacks(0)
行動経済学
経済は完全に合理的でないことは誰でも感じていることであるに違いないことだけど、従来の経済学は人の行動は超合理的であるとして理論が組まれてきた。

だけど、近年、人間の行動は完全には合理的じゃないよ、という考えに基づいた行動経済学という分野が発達してきている。人間の心理が絡んでくるだけに、とても体系化しにくい分野であるため、現在まで発達してこなかったのかもしれない。いや、2002年にカーネマンがノーベル賞をとるまで注目を浴びてなかっただけか。

そんな人間の心理や直感の曖昧さをクイズ形式で散りばめてくれている本書は、僕のような経済学や「数」に興味がある程度の人にはとても読みやすい良書。まさに新書と言った感じでおすすめ。

クイズには、人が確率に弱いことの話として、あるジレンマが取り上げられている。ここに紹介すると、

「あなたはテレビのバラエティ番組に出演し、三つのドアから一つを選ぶチャンスを与えられている。一つのドアには自動車が、残りのドアにはヤギが入っている。あなたが一番のドアを選ぶと、どこに何が入っているかを知っている司会者が三番のドアを開けた。そこにはヤギが入っていた。そこで司会者に「二番のドアに変えますか」と尋ねられた。あなたは二番に変えたほうがよいか。」

また、他人の行動を推し量らなければならない問題として、次の問題がある。

この問題は100人の人に対して出題されているとする。今、各人に、1以上100以下の好きな整数を1つ選んでもらい、全員の数値の平均値の2/3倍に最も近い数を選んだ人が勝者であるというゲームをする場合、あなたは勝つために、どの数を選べばよいか。

正解は次の更新時にしようと思います。


2006.08.29 Tuesday | | comments(0) | trackbacks(0)
ザムザ×変身×カフカ
昨夜は何か寝付けず、本を読むことにした。

短編集でも良かったのだけど、カフカの変身を読むことに。100ページ未満と短く、かつ様々な解釈が許されているため僕としては読みやすい。

「ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。」という有名な一文から始まるこの作品。グレーゴルの家族はなぜ彼が虫になってしまったのかに疑問を持つことなく、虫でありながらも家族である彼への対応に困りながら彼の世話を続ける。しかし、家族内には様々な感情が飛び交い、残酷なラストへと向かう。

グレーゴルが変身した「虫」は、現代社会においても様々な象徴としてあらわれているように思える。高齢化した社会において、また、日々取り上げられる社会問題の中にこの「虫」は現れているのではないか。そして、「虫」は必ずしも負の象徴とは限らず、常識に抗う青年のような面もかかえているのではないか。

この作品は何も不条理でないリアリズムにあふれた作品となっていくのかもしれない。

それよりも、カフカはなぜこの作品を失敗作とこぼしたのだろう。創作時間が十分にとれたなら彼はどんな展開をこの作品でみせていたのだろう。と考えながら分かるはずもなく僕はベッドにもぐりこんだ。
2006.06.25 Sunday | | comments(0) | trackbacks(0)